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★ わが屋前に 花そ咲きたる そを見れど 情も行かず 愛しきやし 妹がありせば 水鴨なす
二人並びゐ 手折りても 見せましものを うつせみの 借れる身なれば 露霜の
消ぬるがごとく あしひきの 山道を指して 入日なす 隠りにしかば そこ思ふに
胸こそ痛き 言ひも得ず 名づけも知らず 跡もなき 世間にあれば せむすべも無し
★ わがやどに はなそさきたる そをみれど こころもいかず はしきやし いもがありせば
みかもなす ふたりならびゐ たおりても みせましものを うつせみの かれみなれば
つゆしもの けぬるがごとく あしひきの やまぢをさして いりひなす かくりにしかば
そこおもふに むねこそいたき いひもえず なづけもしらず あともなき
よのなかにあれば せむすべもなし
★ わが家には、妻の植えた撫子の花が咲いている。それを見ても、心も慰められない。
愛しい妻がいたならば、仲の良い鴨のように、二人並んで、花を手折って、見せようものを
この世の身なので、露や霜の消えるように、あしひきの山道に向かって、沈む日のように、
妻は隠れてしまったので、そのことを思うと胸が痛み、この思いを言いようもなく、名づけようも
無く、跡形も無く、何もかもが消えてしまう世の中なので、どうする事も出来ない。
二人並びゐ 手折りても 見せましものを うつせみの 借れる身なれば 露霜の
消ぬるがごとく あしひきの 山道を指して 入日なす 隠りにしかば そこ思ふに
胸こそ痛き 言ひも得ず 名づけも知らず 跡もなき 世間にあれば せむすべも無し
★ わがやどに はなそさきたる そをみれど こころもいかず はしきやし いもがありせば
みかもなす ふたりならびゐ たおりても みせましものを うつせみの かれみなれば
つゆしもの けぬるがごとく あしひきの やまぢをさして いりひなす かくりにしかば
そこおもふに むねこそいたき いひもえず なづけもしらず あともなき
よのなかにあれば せむすべもなし
★ わが家には、妻の植えた撫子の花が咲いている。それを見ても、心も慰められない。
愛しい妻がいたならば、仲の良い鴨のように、二人並んで、花を手折って、見せようものを
この世の身なので、露や霜の消えるように、あしひきの山道に向かって、沈む日のように、
妻は隠れてしまったので、そのことを思うと胸が痛み、この思いを言いようもなく、名づけようも
無く、跡形も無く、何もかもが消えてしまう世の中なので、どうする事も出来ない。