★　ひさかたの　みやこをおきて　くさまくら

　　　たびゆくきみを　いつとかまたむ


★　ひさびさの都を後に草を枕に旅立ってゆくあなたを

　　私はいつ帰るとて待つのだろう

　　　　　巻13－3252

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★おおふねの　ももひたのめる　きみゆゑに　

　　つくすこころは　　おしけくもなし

★　大船のように頼りに思うあなたゆえ、

　　物ゆえに、物砕く心は何の惜しいこともない

　　　巻13－3251

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★　蜻蛉島の日本の国は、神の意に

　　おって言挙げをしない国だ

　　しかし私は言挙げをする国です。

　　天地の神もそれほどは、わが心の

　　内をしないのであろうか。

　　光が変わって月が経過し、玉のように

　　輝く日も重なっていくと、あなたを

　　思うからか　胸は安らかではない。

　　恋しているからか心が痛い。

　　最後まで遂にあなたに逢わずして

　　わが命のある限り、私は恋つづけて

　　渡るのだろう。真澄鏡を、見るごとく

　　じかにあなたにお逢いしてこそ

　　わが恋心も止むだろう

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★　しきしまの　やまとのくにに　ふたりありとし

　　　おもはば　　　　　なにかなげくも


★　磯城島の日本国に、わが恋する人があると思ったら

　　何を嘆く必要があろう。

　　　　巻13－3249

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★　磯城島の　日本の国に　人多に

　　満ちてあれども　　藤波の

　　思ひまつはり　わかくさの

　　思ひつきにし　　君が日に

　　恋ひや明かさむ　　長きこの夜を


★　しきしまの　やまのくにに　ひとさはに

　　みちてあれども　ふじなみの　おもひまつはり

　　わかくさの　おもひつきにし　きみがめに

　　こひあかさむ　ながきこのよを


★　磯城の　日本の国には　人が多く満ちているけれども

　　波うつ藤のように　わが思いがまつはり

　　若草のように思いが離れないあなたに逢うことを

　　願って明かすのだろう。長いこの夜を

　　　　　　　巻13－3248

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