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TW2の事務所には木村氏への、贈り物が毎日のように届いていた。
魚沼産こしひかりから、上等のアスパラガスやら、ステーキ肉・・・・・なぜ、木村氏にそんなに
贈り物が多いのだろうと不思議に思って聞いてみた。
「茶道や日本舞踊や生け花の昔のお弟子さんたちから送ってくる」と、おっしゃっていた。
人望の厚い人なのだなと思ったものである。
そして、そのおいしい贈り物を一番味わっていたのは、藤岡さんであった。
外での仕事が無い日は、大半の時間を事務所で過ごしていた藤岡さんは、料理まめな木村氏が
送られてくる美味食材を、ダイナミックに調理したものを真っ先に食すのだった。私も事務所での
レッスンの折には、時々おすそ分けをしてもらった・・・今でも懐かしい思い出である。
とりわけ、ステーキ肉は美味しく、木村氏はあまり肉を召し上がらないので肉好きの藤岡さんは
必然的に独り占めして、食べていた。でも、時々私が貰っているのを知って、「あまり、辻さんに
あげちゃ駄目」と言っていたと、木村氏が私に言っていた事がある。私はその話になんだか
藤岡さんらしくなくて可笑しく思ったのを憶えている。「藤岡が残りの2枚のステーキ肉は僕が
食べるから辻さんにあげちゃ駄目って言うんだよ」と、木村氏が私に言う・・・・なんだか、子ども
みたいあだな・・・・と、思った。誰の前でも、スマートにおっとりと振る舞っていた藤岡さんだが
木村氏の前では、子どものようだなと感じていた。
★ わたつみは 奇しきものか 淡路島 中に立て置きて 白波を 伊予に廻らし 居待月
明石の門ゆは 夕されば 潮を満たしめ 明けされば 潮を干しむ 潮騒の 波を恐み
淡路島 磯隠り居て いつしかも この夜明けむと さもらふに 寝の寝かてねば
滝の上の 浅野の雉 明けぬとし 立ち騒くらし いざ子ども あへて漕ぎ出む 庭も静けし
巻3-388 作者未詳
わたつみは くすしきものか あはぢしま なかにたておきて しらなみを いよにめぐらし
ゐまちづき あかしのとゆは ゆふされば しおをみたしめ あけされば しおをひしむ
しほさゐの なみをかしこみ あはぢしま いそがくりゐて いつしかも このよのあけむと
さもらふに いのねかてねば たぎのうへの あさののきざし あけぬとし たちさわくらし
いざこども あへてこぎでむ にはもしづけし
★ 海の神は なんと霊妙なものでしょうか?淡路島を中に立て置いて、白波を伊予の国まで
廻らして、十八夜の月も明るい明石の海峡を夕暮れともなれば、潮を満たして、夜明けに
なれば、潮を引かせる。潮なりのする波が恐ろしいので、淡路島の磯に隠れて、早く夜が
明けて欲しいものだと、様子を伺いながら、中々眠りに付くことが出来ずにいると、海に
つづく滝の上の雉が、夜が明けたと立ち騒ぐ鳴声が聞える。さぁ、みんな、漕ぎ出だそう。
海面も静かなことです。
巻3-388 作者不詳